本棚▼デュラララ!!

□不即不離【シズイザ】
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---交番

「…またか。臨也」
「だって万引き未遂すればシズちゃんに会えるんだもん♪」
「…イラッ」

この容姿端麗な子供、「折原臨也」は万引きの常習犯で毎回俺の元にやってくる。
アホだ。毎回万引きの未遂をして俺の仕事を増やす。まったく迷惑。迷惑極まりない。

「こら、静雄。机壊れるだろ」
「…あ、すんません」

上司のトムさんに止められて俺は机から手を離す。少しひびが入っちまったみてぇだ。ま、そんなことも俺にとっては日常茶飯事なわけだが。

「シズちゃん相変わらず面白い馬鹿力だよね」
「あぁ!?誰が面白いって!?」
「シズちゃんが♪やっぱ他の大人と違ってシズちゃんは面白いなぁって」

くすくすと笑う臨也。
…俺はこの馬鹿力のお陰でこいつに好かれちまってこの状況。かれこれ1ヶ月ほど前に出会ってからずっとこれだ。最初はこいつも純粋に万引きをしてたんだが、俺の力を見てからは会いたくなっては万引きを未遂でするようになったんだ。

「いい加減やめろ。お前未成年だし、未遂でやられると補導だけで逮捕できねぇんだよ。」
「知ってるよ。だから今のうちにシズちゃんに会って置こうと」
「どういう意味だよ。意味わかんねぇよ。つか今平日の午前だぞ?学校へ行け」
「シズちゃんって学生時代不良そうだよね」
「…俺はいたって真面目な子だった」
「そんな力があるのに?」
「うるせぇ。とにかく帰れ。」
「えー。家帰ってもつまんないもーん」

あー。うぜぇ。
俺は臨也の首根っこを掴んで外へ連れて行く。そして外で待っていた父親に手渡す。すると父親は困った顔をして何回も頭を下げていた。そして動こうとしない臨也の肩を叩いて「帰るぞ」と一言言うと、臨也はいつもの調子でこう言った。

「また来るね。シズちゃん」
「来んでいい」
「♪」

無駄に整った顔で俺に笑顔を向けると背を向けて父親と帰っていった。

「…静雄も大変だな」
「ほんとッス…」
「嫌なら他の奴に補導してもらえばいいのにな」
「………俺、もう仕事ないんで帰ります」
「…おぉ。またな」
「うッス」

トムさんに軽く礼をした後、俺はロッカールームで着替えてから外へ出る。季節は12月とあるだけあってとても寒かった。

「…他のやつに、か」

俺にはアイツをほって置けない理由があった。


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