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□好きキライ愛してる【シズイザ】
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俺はシズちゃんが嫌いだ。世界で一番嫌い。嫌い。嫌い。嫌い。お願いだから俺の視界から消えてくれないかなぁホントに。

「お願いだから俺の前から消えてよ。シズちゃん」
「消えねぇし退かねぇ。お前が素直になるまで退かないかねぇからな」

そんな宣言されても、俺はいつも素直であって何も隠してはいないだろ。

「俺はシズちゃんが嫌いなの。それが俺の本心、ってかマジでそこ退けよ」

俺は何故か壁に押し付けられていて、シズちゃんの馬鹿力で抑えられた両腕はびくともしなかった。
つまり俺は絶体絶命の大ピンチってわけなの。

「…好きじゃない、だなんて…つか心理学の超天才サマが言葉のあやなんかすんのかよ。心理学的にどうなんだよ。あぁん?」
「言葉のあやと心理学は関係ないね。全く君、心理学をなんだと思ってんのさ」
「自分の心理すらまともにわかんねぇ奴に言われたくねぇよ」
「…カッチーン。ねぇ今カッチーンってきたんだけど。ねぇいい加減キレるよ?ねぇってば」

俺の今の心理は「ただ君が大嫌い」だということしかないよ。安心しなよ、君が心底嫌いで、殺したいほど憎んでいた俺も君と同じ気持ちなんだからさ。

「…俺はお前が好きだ。好きだ…」
「うるせぇよ、黙れよ、何なんだよ」
「…俺は門田にだけ笑いかけるお前にいつもブチキレて、んでいっつもお前に怪我させて…」

今更、何?俺が何回骨折ったと思ってるの?俺が何回君に死ねって言われたと思ってるの?俺が、俺が何回、君に嫌いって言われたか…わかってるの?

「お前の言いたいことはわかるけどよ、だけどもう言わずにはいられねぇんだよ…」

すごく悲しそうな表情のシズちゃん。…こんな顔、俺初めて見たんだけど。君も傷ついたような顔するんだね。

「そんなの知らないよ。っていうか腕痛い。痛い。折れる」
「お前が素直になれ」
「だから、お前のその定義がわかんねぇんだよ!何で俺がお前のこと好きなの前提なんだよ!」
「だってそうだろ?」
「ちげぇよ!!」

あぁもう!!これだから天然は、馬鹿は嫌いなんだよ!

「何で?何で俺が君の事好きっていうことになるのさ!根拠は何!?理屈も糞もないじゃんか!」
「…お前が、」

ぎしっと骨が歪む音がする。あぁやばい。折れる。これ絶対折られる。
そう思って俺が覚悟を決めて唇をかみ締めていると、シズちゃんは俺の思惑とは全く、全然違う行動に出る。

「…え?」

思わず素っ頓狂な声が出てしまう俺。
…だって、ねぇ?
シズちゃんが俺のこと…抱きしめてるんだから

「しず、ちゃ…」
「お前が俺のこと好きだって言わねぇと、俺はお前を殺しちまいそうなんだよ」
「!?」

がっしりとつかまれた身体を再確認して、俺はようやくその言葉の意味を理解する。

「…あぁ、そっか」

俺はもう逃げられないんだ。

「臨也、好きだー…」
「俺はー…」

もう一度考えてみるが、やっぱりこの状況を打開する策は何も思いつかない。…我ながらいい気味って感じだよ。…もう、

もういいや。知らない。どうにでもなっちゃえ。

「俺、シズちゃんのこと」

好き、だなんて言ってやらない。一生言ってやらないんだからね。


「愛してる」


胸の奥から出てくる息と、言葉と、熱が、
俺の体を蝕んでいく。

あぁ、なんて痛快なんだろう。

「ほら、やっぱり俺はお前の心が読めるんだよ」
「…」

エッヘンっとどや顔で言って俺を見てくるシズちゃん。
無理矢理言わせたくせに、と言い返してもやりたかったが今は我慢してやる。

「シズちゃんホント天然だよね。バーカ」
「な゛ッ!?」

だって、至極満足そうな君の笑顔が不愉快に感じられなかったから。

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管理人・ゆーかん
絶体絶命の危機にならないと素直になれない臨也さん。
これから一生、自分がシズちゃんと付き合っている言い訳を彼のせいにするんでしょうね。


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