長編

□崩壊の戯曲
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このまま何もかもを忘れて楽になるのと、泥水すすって彼の情報をつかむのと、ねぇ雨丸、君はどっちを選ぶ……?


そんなの……決まってる……!!!





◆◆◆

「やあ。今日も励んでるかい?」
「うるさい。失せろ」
人好きのしそうな顔で軽く手を挙げてきた男――楓原朧に向かって、少年――砂沙雨丸は目も合わせずに一言で切り捨てる。
「雨丸、君相変わらず口悪いねぇ……。せっかく君に良い話持ってきてあげたのに、そんなんじゃ潰れちゃうよ?」
朧は全く堪えた様子もなくむしろ楽しそうにしている。
「お前の良い話が、碌でもない話じゃなかったことがあるのか」
対する雨丸は話をするのも嫌だという様子で苦々しげに朧を睨む。
「やだなぁ。今回ばっかりはほんとに良い話なんだって。今まで君には僕の駒として働いてもらってたわけなんだけど、いつまでもそれじゃあかわいそうかなっていう僕の海より深いやさしさによって……」


「君、明日から特殊部交通課に移動ね☆」

「はぁぁぁあああ!!!?」

「あっ大丈夫大丈夫。書類は全部僕がちゃんと用意したからね!!! そこにおいてあるからちゃんと目、通しといてね」
そういって朧はスキップでもしそうな足取りでその場を後にする。
突然のことにしばらく呆然としていた雨丸は、我に返って近くにあったクッションを無操作に掴み、朧の去って行った方向に思いっきり投げつけながら叫んだ。

「ふざけんなぁぁあああ!!! もうお前一遍死んで来い!!!」



「……俺はパートナーなんていらない。欲しくない。俺のパートナーは一生彩花だけだ……!!!」
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