短編
□分かっていても言わないのが大人です
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「青砥、そのユニフォーム大きくないか??」
杉山は青砥のぶかぶかのユニフォームを見て首をかしげる。小柄な青砥の着ているそれは、どう見てもサイズが2つは上に見える。
「これより小さいのがなかったんだよ」
それに対して、青砥は澄ました顔で答える。
青砥の中でこの話はここで終わったはずだった。
しかし、それが勘違いであったことをのちに思い知ることになる。
◆◆◆◆◆
「青砥ー!!! 青砥!!! あのな俺たちのユニフォーム、お前が着てるやつより小さいサイズ見つけたんだ!!! やっぱり自分の身長にあったの着たいもんな!!! これでぶかぶかで動きにくいなんてことな「うっさい!!!」
嬉しそうに自分にぴったりのサイズのユニフォームが載っているページを見せてくる杉山に青砥は反射的に叫ぶ。
「……?? 急にどうしたの青砥?? 大きな声出して」
「別に何でもない!!!」
青砥は杉山に背を向けすたすたとグラウンドを後にする。
「……?? 青砥??」
不思議そうな杉山の声が夕日射すグラウンドに
すいこまれていった。
実は身長が伸びることを期待して大きめのユニフォーム作ってた青砥。
実際は全く伸びなくてぶかぶかなままなのをたいそう気にしてます。
そんな彼の地雷を思いっきり踏み抜いちゃった天然キーパー君でした。