「名無しさん、何やってんの」
後ろからぐいっと腕を引かれ、
バランスを崩した。支えてくれたのは彼の胸。
『リョーマくん!』
「俺言ったよね?桃先輩や菊丸先輩には捕まらないでねって」
はぁっとため息を吐かれて、思わず落ち込んでしまう。
だけど抱き締めている腕の強さがあまりに優しくて、思わず口元が緩む。
「まあまあ、越前!あんまり口煩いと名無しさんちゃんに嫌われちまうぞー」
「そうだよー、おちび!だって名無しさんちゃんは、おちびの…ねー」
菊丸先輩が私にファンの子だったら
ノックアウトの可愛いウインクをする。
これを見て、生意気ルーキーが
不機嫌にならないはずがない。
「何でもいいけど…、名無しさんが俺のこと嫌いになるわけないじゃん」
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