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□気を紛らわす
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どんどん光と音の間隔が開いていく。
遠くなったという合図だ。




そしてようやく唇が離してやる。




『リョーマ、いきなりびっくりしたよ』



はあはあと肩で息を整えながらも、
甘えるように俺の胸に擦り寄る。





「気を紛らわそうと思って」



とか言って、ただ単に震えている名無しさんが
可愛くてキスしたくなった…なんて言えない。




『ありがとう』


俺がそんな想いを抱いているとは知らず
柔らかい笑顔を零していた。






空を見ると、消えていった積乱雲。
また暑い夏日に戻っていった。







気を紛らわす
(怖い気を紛らわしてくれたんだね)
(…本当は襲いたい気を紛らわした)






-END-





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