そのいち

□それでもいい
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棗は意外と鈍感だから、名無しさんに見られていることに気付いていない。


このまま気付かなければいい。


それだと名無しさんが幸せになれないのかな?でも俺が君を幸せにしたいんだ。






放課後、誰もいない教室に君がいた。



「名無しさん?」


『あ、ルカ…どうしたの?』



「…大丈夫?」


『あ…うん、大丈夫だよ』



弱々しく微笑む姿がどうしても痛々しく見えてしまう。身体は傷ついていないのに、心がボロボロになってしまう君をもう見たくない。





「棗のこと諦めなよ。名無しさんだって届かないこと分かってるんだろ?」


『分かってる……。でも簡単に忘れられない…』




やっぱりそうだよね。そんな気持ちは痛いくらい分かる。






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