そのいち

□それでもいい
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「俺のこと利用してみて」



こんなに君が弱っているときに甘い言葉で付け込んで、ズルいなんて分かってる。でも心からそう思ってるから。




俺は名無しさんを愛おしそうに抱き締めた。ずっと味わいたかった感覚。それが今、俺の中にいる。




『ちょ、ルカ…!』



「俺、名無しさんのことが好きなんだ。棗を忘れる為でもいいからさ、俺のことも考えてみて」




一度だけ強く力を入れて、名残惜しいけど名無しさんを離した。




「ゆっくりでいいから。今までもずっと待ってたから待つよ」





そう言って教室から出ていく。





それでもいい
(ズルいなんて分かってる)
(甘い言葉に騙されてよ…)





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-END-





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