「俺のこと利用してみて」
こんなに君が弱っているときに甘い言葉で付け込んで、ズルいなんて分かってる。でも心からそう思ってるから。
俺は名無しさんを愛おしそうに抱き締めた。ずっと味わいたかった感覚。それが今、俺の中にいる。
『ちょ、ルカ…!』
「俺、名無しさんのことが好きなんだ。棗を忘れる為でもいいからさ、俺のことも考えてみて」
一度だけ強く力を入れて、名残惜しいけど名無しさんを離した。
「ゆっくりでいいから。今までもずっと待ってたから待つよ」
そう言って教室から出ていく。
それでもいい
(ズルいなんて分かってる)
(甘い言葉に騙されてよ…)
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-END-
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