「じゃんけんポン!」
菊丸先輩の掛け声で、みんな思い思いのを出した。負けたのは桃。
「ちぇー、俺が鬼かー」
『100秒数えたら見つけにきてね!それまで見ちゃダメだよ。じゃあ、よーいスタート!』
私の勝手なルール設定と掛け声でかくれんぼの始まり。何だかんだ私が1番楽しんでいるかも。
いつもはマネージャーだから、みんなと何かするってことがあまらない。だからやっぱり嬉しい。
『どこがいいかな…』
うろうろと動いてみるけど、なかなかいい場所が見つからない。小さい頃の記憶を引っ張りだしてみるけど、これがなかなか難しい。
「名無しさん先輩」
悩んでいると、後ろの低い草の向こうから名前を呼ばれた。かくれんぼのメンバーの中で、名無しさん先輩なんて呼ぶのは、彼しかいないからすぐに分かった。
「いい場所見つけたね、リョーマ」
私もリョーマの隣に座った。
うん、ここなら見つからなそう。結局しっかり活動してんじゃん。
「リョーマ、ちゃんとかくれんぼしてるね」
『…うるさいっす』
えらい、えらいと綺麗な黒髪を撫でるとリョーマは少し照れて、私の方とは反対側に顔を背けた。
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