「ちょっと!何泣いてるのよ…!」
『だって…っ、恐かったんだもん』
全く、と萌が溜め息を吐いた。それは呆れているようだけど嫌な感じではなかった。
「名無しさんが悪いんだからね。顔がぐしゃぐしゃで酷い顔ね。越前にまだ謝ってないんでしょ?」
濡れた顔を拭きながら頷くが、涙は止まることを知らない。
それよりも今、酷い顔って言われたよね。いくら泣いてるからってそれはないんじゃないかな……。
『萌、…ひどい』
「あら、本当のことを言っただけ。越前に謝るの昼休みにしなよ」
そんな顔見せたら振られちゃうよーって萌が笑う。
『生憎だけど、リョーマくんはそんな人じゃないもん』
思わず頬を膨らませて言った。萌にはいはい、と流されたけど。
萌と話している内にクラスの子が続々と教室に入ってきた。私の顔を見るや否や、酷い顔!と誰もが言ってくる。隣で萌が面白そうにクスクスと笑ってるから、今日は何を言われても我慢しよ。
でもこれじゃリョーマくんの顔、見れないよー。昼休みまで彼の顔を見るのはお預け。
義理と人情そして仁義
(彼女はそれを持っていると思う)
-contiune-
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