そのいち
□取り留めておきたい
4ページ/5ページ
やっぱり俯く。
『棗はモテるでしょ?
だからどこにも行かない様に
取り留めておきたくて…』
いつの間にか俺は名無しさんを
きつく抱き締めていた。
『でもやっぱり失敗しちゃった。
棗を攻めようなんて、5年早かったね』
腕の中でえへへと恥ずかしそうに笑う。
「50年だな」
もうっと膨らます名無しさんの頬を包み、
一つさらにもう一つとキスを落とす。
『…どこにも行かねぇよ』
そういうと幸せそうに微笑む、
柔かな笑み。
分かってねぇな、俺が
名無しさん無しじゃダメなこと。
取り留めておきたいのは、俺の方。
-END-
⇒Next おまけ
.