PrinceU
□数えましょう
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まだ日が傾いたばかりだが、今日の部活は手塚部長の掛け声で早く終わった。
まだ他の部活は活動しているのに、テニス部だけ終わりってなんだか変な感じ。桃に言わせると「暴れたりねぇな、暴れたりねぇよ」って感じらしい。
他の人たちはすぐに帰宅したけれど、まだ部室でウダウダと体力を有り余っている人たちもいる。
「暇だにゃー。…そうだ!かくれんぼしよ!」
こんなことを言いだすのは私の一つ上の菊丸先輩。この歳で、にゃーなんて言ってるけど菊丸先輩だから許されることだと思う。
「いいっすね!やりましょう!」
こうやって何でも乗っかってくれる桃の性格は好きだな。たまにバカみたいだけどね。
しかし2人で盛り上がっているのにも関わらず、その雰囲気を壊すスーパールーキーも残っていた。
「俺はいいっす」
後輩なのに、先輩に対してこの口調。全く強気な性格だ。それがテニスのプレーにしっかりと出ているから止めろとは言わないけど。
「名無しさんちゃんはやるよねー?」
可愛らしく菊丸先輩に頼まれたら、断れるわけがない。部誌も書き終わったし、ちょっとだけなら。
『やりますよ』
「だよな!どっかの越前とは違うよな!」
どっかの越前って…そこの越前のことでしょ。
「やるっす」
しかし、その桃の一言にうちのスーパールーキーはむっときたらしい。単純っていうか、純粋っていうか。
「よーし、決まり!じゃんけんしよ!あ、海堂もだかんね!」
「フシュー…」
あ、海堂くん居たんだ。
ごめん、ほんの少しだけ気付かなかったよ。
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