PrinceU

□スタートライン
1ページ/3ページ






「名無しさん先輩」



全ては君の唐突な一言から始まった。









友達が薄情にも先に帰ってしまったある日の放課後。1人で帰ろうと思い、昇降口を出た。



出てすぐの柱に寄り掛かっていたのは、我が青学が誇るテニス部スーパールーキーの越前リョーマ。



そういう噂には特に興味はないけれど、この前桃が自慢げに話していたから名前と顔くらい知っている。




彼女待ちとかかなと思い、彼の前を素通りする。声をかける理由がないし、それよりも話したことがない。





「ねぇ」


近くで聞こえる越前リョーマのちょっとハスキーな声。意外とこの声のトーン好きかも…なんて考えていると、急に腕を掴まれた。





「ちょっと聞いてる?」


『え………私?』


「他に誰がいるんスか?」



呆れたように大きな溜め息を吐いて、私の腕を離す越前リョーマ。私は周りをキョロキョロと見渡してみる。遠くでは部活をしている人たちの声がするが、近くには私たちの他にいなかった。





『いないね……』



「だからあんたのことを呼んだんだってば」


私の方が先輩なのに、あんたって。でもこの会話を聞いているとどっちが先輩だか分かんないか。





『ねぇ、何で私の名前知っているの?』


「桃先輩に聞いた」



あ、そっか。私も桃から越前リョーマの名前聞いたっけ。






.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ