PrinceU
□マネージャー事情
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だいたいどういうわけ?あんたの彼氏は俺でしょ?俺の隣にいればいいじゃん。それなのにさ……。
『菊丸先輩、大丈夫ですか?』
部活中、英二先輩が得意なアクロバティックをしていたら少しだけ擦り剥いたらしい。それなのに名無しさんは駆け寄って手当てをする。向こうのコートでは不二先輩が名無しさんを呼んでいる。
本人はそれがマネージャーの仕事だって言い張っているけど、英二先輩も不二先輩も全部わざとな訳で。しかしそんなことに気付いていない。
「…彼女が鈍感だと苦労する」
俺は遠目でその光景を見てため息を吐く。マネージャーだからしょうがないけど、名無しさんは俺の物だという実感はあるのだろうか。
部活中だっていうのに全然集中できない。すると名無しさんがタオルを持って、トコトコとこちらに向かってきた。
『リョーマ、調子悪いの?』
「…別に」
せっかく名無しさんと話し始めたのに、向こうの方で英二先輩が名無しさんの名前を呼んだ。
「ほら、英二先輩が呼んでる」
俺がそういうと名無しさんは英二先輩がいるコートの方を向いた。英二先輩はここ!と両手をあげて高くジャンプしている。
ああ、また捕られる。
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