PrinceV
□I Love You
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彼の名前を呼べるのは特別。私は彼にとってそんな特別な人。それが分かっているから何度も連呼したくなる。かなりウザがられるけど。
「リョーマ」
「何の用?さっきから返事してるんだけど」
用はないよと言うと大袈裟に溜め息を吐かれてしまった。名前を呼んで彼が振り向いてくれて目が合って返事がくることが幸せなの。誰かが欲がないねって言っていたけど私は欲張りだと思う。
「リョーマ」
「何」
「好きだよ」
名前を呼ぶように言えば彼のポーカーフェースが少しだけ崩れた。バカでしょ、と言うのはきっと照れ隠し。
「どれくらい?」
何が?と聞けばどれくらい好きなのかってことだって。何かすごく可愛いんですけど。そんな言葉が喉まで上がってきたけど口に出したら私の未来が危ない気がするからやめておこう。私だってそのくらいの脳はある。
「聞いてるわけ?」
これは催促と受け取っていいんですよね?もう言ってしまおうかと思ったけどやっぱりやめておく。話を戻してどれくらい好きだなんて何て言えば上手く伝わるんだろう。言葉なんかじゃ足りない気がする。でもしいて言えば。
「リョーマが私のことを好きなくらいかな」
「自信過剰だね」
誰かさんに似たのかも、と言う私は口が達者になったと思う。元々はそういう子じゃなかったのにな。リョーマはどれくらい?なんて聞く子でもなかったのに。
「あんたが思ってる以上に好きだよ」
こういうふうになったのに、まだまだリョーマには敵わないけど。顔が赤くなっているのを気づかれて笑われた。こっちが恥ずかしいのを知っていて耳元に唇を近づけてくるリョーマはずるい。
I Love You
(ほら、また赤くなってしまった)
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