PrinceV

□perfect day
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付き合っている私と比べものにならないほど可愛い子に告白されているリョーマを見てしまった。放課後の夕日に照らされた彼らがすごくよく似合う。私はいたたまれなくなって目指す方向もなく走り出した。




付き合った当初は夢みたいにふわふわと浮いていたのにいつの間にかしっかりと地面に足がついていたらしい。リョーマがそばにいてくれるたびに危機感がなくなっていた。ようやくこれが現実だと突きつけられた気分。




「おい、名無しさん!」


走っているのに急に腕を掴まれてストップ。私を掴んでいる大きな手の持ち主は桃先輩。リョーマじゃないんだと思うのは末期だろうか。




「泣いてんのか?」


「私、泣いてます?」


自分の頬に触れると指先がヒヤリと濡れた。気がつかないうちに泣きながら走っていたんだ。まるで青春の1ページ。だけどそれも今日でおしまい。



大丈夫か?と言って桃先輩が手を伸ばした。いや、伸ばそうとした。私の身体は急に後ろに引かれて桃先輩から離れていく。さっきと違い、力強くてよく知っている手に腕を掴まれた。






「桃先輩、こいつ俺のっすよ」


ギロリとした目からちょっとした威圧感。先輩に対しても少しだって遠慮したりしない。そういうところがちょっと憧れてたりするんだけど。だけどもう関係ない。桃先輩は適当に流しながら帰ってしまった。おかげで急に2人きり。




「…リョーマのじゃないもん」


「もしかしてさっきの見てた?」


やっと声を出したのにまたウッと言葉に詰まる。やっぱり、と溜め息を吐かれてしまった。それよりも何でここにいるの。さっきの子と一緒にいればいいじゃんか。




「最後まで聞いてなかったでしょ」


聞けるわけないじゃん。分かってるけど現実だって受け止めたくない気持ちがあったんだから。さっきの現場を考えれば考えるほど涙が出てくる。





「あんたは悪い方に考えているけど断るに決まってんじゃん。名無しさんが思っている以上に俺は名無しさんのこと好きなんだけど」


大きな溜め息と共にだけれどあまりにサラリと言うから私の方が恥ずかしい。何それ、じゃあ私は1人で考えて1人で泣いていたんだ。全くとんだ人騒がせな勘違いだろう。





「もっと自信持ってよね」


頬をぎゅむっと抓られて弄ばれる。痛いけどリョーマがこんなことをするのは私にだけ。そう思ったらどうしてもへラリと頬が緩んでしまう。変な顔と言われたけどそれとよしとしよう。






perfect day
(終わり良ければすべて良し)




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