……ずるい人やな。
彼はよくそう言う。
それは外れていなければ私もそう思う。私はずるい人。
今まで積んできた恋愛経験なんて最低なものばかり。そのどれもが必ずバッドエンドで終止符を打つ。それは向こうが悪かったり私が悪かったり。
愛してくれる人がいなくなると必ず私は彼の元へ行く。
「またっすか」
「うん、また」
はぁーっと溜め息を吐きながら彼は私を抱きしめてくれる。誰かがいなくなる度に私は彼の温もりを求めて。
「…だからあんたには俺しかおらんて言うてるやろ」
抱きしめながらそういう光の声は悲痛な叫びに聞こえる。痛々しくて切なくて締め付けられる叫び。自分が悪いのに耳を塞ぎたくなる。
私には光しかいないって分かってる。だからこそいなくなってほしくないから他に行くの。
……矛盾?そうだね、矛盾だね。
「…ほんまずるい人や」
幾度目なのか分からないくらい、また光がそう言った。ごめんねと謝ったって意味がないし余計酷。だから頷いた。
脆弱ガール
(踏み出す前から離れることを恐れてる)
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