PrinceV

□勝ち誇った顔
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廊下をバタバタと走って前方にお目当ての人を発見。走りながらすうっと鼻から大きく息を吸ってお腹に力をいれて叫ぶ。





「ブーンー太!」


振り向いた彼はゲッと嫌な顔をしたけど全く気にしない。ブン太の少し手前で足に力を入れてその胸に飛び込む。




「とりゃ!」


「うおっ!」


結構思いっきり飛び込んだのにブン太がしっかり支えてくれる。すごいね、と言ったら全国レベルのテニス部の鍛え方ナメんなってニカっと笑う。あーもう、すごく格好いい。




そんなブン太のことを格好いいと思っているのは私だけじゃない。そんなことずっと前から分かってる。ほら、今も少し離れたところで女の子たちがこっちを見てヒソヒソと話している。だけどごめん、ブン太は私のなの。見せつけるようにぎゅうっと力をいれて彼を抱きしめる。そうすればブン太はもっときつく抱き締め返してくれる。ほら見て。私のなの。






「あんまくっついてると襲うぞ」


気を使ってなのか小さく低い声で言ったけどバカだなあ。襲われたいの、と返せば彼が男の顔になってゴクリと喉を鳴らした。こんなブン太を見たことないんだろうな。一生見せてあげない。







勝ち誇った顔
(いい性格ね)




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