モノクローム
□違いすぎた理想と現実
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「俺、あんたのこと好きなんだけど」
私は生まれてからこの方、告白されたことなんて一度もない。それなのにたくさんのギャラリーがいるなか、そして抱き締められながら告白される日がくるなんて…。
そして相手はあの越前リョーマ。
私は落ち着いてもう一度、彼の胸をぐっと押して腕の中から離れる。
『私、越前くんのことよく知らないんだけど…』
「まあ、あんたとろくに話したこともないしね」
だったら何で彼は私を好きになったんだろう。
もしかしたら、こんな大勢の前でからかっているのかもしれない。私はそう考え、彼に疑いの目を向けた。
「何で好きになったんだろうって顔してる。別にあんたをからかっているわけじゃないんだけど」
おおう…、彼はもしや読心術が使えるのかもしれない。何で私の考えていることが読めたのだろうか。
「俺さ、本気なんだよね。というか一目惚れってやつ」
あまりに真剣に瞳を見つめてくるので、一瞬で揺らぎそうになってしまった。しかしその揺らぎを取り消すように叫んだのはあの彼女だった。
「リョーマくん!一体こんな子のどこがいいの!?」
吠えるような口調で私のことをビシッと指を差す栗色の髪の毛の女の子。自分でもどこがいいのか…とは思うけど人に言われるといい気はしない。
しかしその女の子は、別に関係ないじゃん、と越前くんにズバリと言われていた。
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