モノクローム

□ここは既に敵陣
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あんな騒ぎがあった後の授業は、驚く程あっという間に過ぎていった。


そして今は放課後。越前くんが教室を出ていくときに、暇だったら部活見に来てよって言ってきたので、じゃあ行ってみようかなと、私は今萌とテニスコートを見ている。




テニスコートで青と白のジャージを身に纏っている彼は、どの先輩にも負けないプレーをしていると思う。
素人目だからよく分からないが、すごく楽しそうにテニスをしていることは伝わってくる。







「……で?」


『……へ?』




「へ?じゃないわよ。あんた、越前と付き合う気?」


『付き合うも何も、越前くんは本気じゃないでしょ?』




そんなの分からないじゃない…と萌は言っていたが、本気ではないと思う。本気だったら越前くんの趣味を疑おう。それともあれかな。平凡に憧れるとか。

どちらにせよ、私の平凡な日常は奪われてしまうのはごめんだ。もうすでに遅いかも知れないが。







「ちょっとあんた!」



ほら来た。私の日常がガラガラと音を立てて崩れ始めてしまった。




『えっと…新崎さん』





腰に手をあてて、私の目の前に仁王立ちしている新崎玲羅さん。

さっき友達が言ってたけど、越前くんのファンの仲でボス的存在らしい。
そしてその容姿は女の私から見ても可愛い。栗色のふわふわの髪の毛をしていて、何となく守ってあげたくなるような小動物。
こういう子に男は弱いんだと思う。






「リョーマくんに告白されたからって調子に乗らないでよね!」



でも性格は裏表が激しいらしい。…今、身をもって実感した。



それだけ吐き捨ててバタバタと走って行ってしまった。萌が隣で何だったの?と私に聞いてきた。もちろん私にも分かるはずがない。







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