越前くんに強引に誘われて頷いてしまったので、部活が終わるまで待つことになった。
『まだかなー…』
「もう少しでしょ?」
危ないからって萌も一緒に待っててくれた。私も萌と同い年なのだからそんなに心配しなくてもいいのに…と思う反面、やっぱり嬉しいと思う。
「待った?」
突然後ろから声を掛けられ振り向くと、今度は学生服を身に纏った越前くんと桃ちゃんが立っていた。
『大丈夫だよ。お疲れ様』
そう言うと越前くんが、じゃあ帰ろっかと私の横に並んで歩きだした。もしかして隣に並んで歩くべき?ちらりと後ろにいる萌と桃ちゃんを見ると、桃ちゃんに行けと顎で示された。
私は慌てて彼の隣に駆け寄る。
「何、桃先輩。名無しさんと越前をくっつけたいんてすか?」
「そんな怖い顔すんなよ、萌!可愛い後輩同士、別にいいだろ」
「でもそんなことになったら名無しさんが大変な目にあっちゃうかもしれないし…」
「大丈夫だって!そこんとこは越前が何とかするだろ。ほら行くぞ!」
そんな会話を後ろで2人がして、私たちと別の方向に歩いていったなんて知る由もなかった。
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