モノクローム

□夕暮れ慕情
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「ちょっとあんた!」


出ました、新崎さん。また第一声がこれですか。
一応私にも雨宮名無しさんって名前があるんだけどな。






「あんた、リョーマくんと付き合ったって本当なの!?」




ズイズイと迫られて睨まれる。
私は人よりほんの少しだけ小柄なので、自然と見下ろされる形になってしまう。ちなみに萌に言わせるとほんの少しじゃないらしいけど。
あ、話が逸れてしまった。






『えっと…本当、です』


「何であんたなの!?」




顔に似合わず彼女から降ってくる言葉はストレートすぎると思う。もう少しオブラートに包むか言葉を選ぶべきだ。






「何で名無しさんがあんたにあんた呼ばわりされなきゃいけないわけ?」




さすが萌。まるで以心伝心かのように私の言いたいことを言ってくれた。


萌は学年でも上位の美人だから、言葉に気迫がある。新崎さんもそれが伝わったのか一瞬言葉に詰まっていた。





「私はずっとリョーマくんを見てきたの!あんたなんかじゃ釣り合う訳ないじゃない。考え直した方がいいわよ!」




そういって新崎さんは離れていってしまった。これが俗にいう、言い逃げってやつか。





でも彼女の言い分はとてもよく分かる。

一方は噂のテニス部スーパールーキー。もう一方はただ平凡な日常を望んでいたただの一般人。まあ、新崎さんみたく可愛いのなら話は別だけど。


つまり私たちに天と地ほどの差があるなんて分かってる。





…でもこの気持ちは初めて生まれた恋心なんだもん。
あれ、私今すごく乙女チックだったよね。








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