モノクローム
□要注意人物
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あの時の彼のあの言葉以来、早3ヶ月。
私は新崎さんや他のファンの子たちに何か言われても、受け流せるくらいに成長した。そして今もあの言葉通りに彼を信じ続けている。
私は付き合い始めたころと変わらず、彼の部活終わりを萌と待っている。コートまで行くこともあるが、最近では教室にいることもしばしば。
『リョーマくん、桃ちゃんと打ち合ってるよ』
今日は教室で待つことにした。テニスコートを見るとリョーマくんが桃ちゃんと打っているのが見えた。
この3ヶ月間で変わったことと言えば、私が越前くんからリョーマくんに呼び方を変えたことくらいかな。呼び捨てでいいって言われたけど、私はこの呼び方が気に入ってから別にいいの。
「え、どこ?」
『ほら、あそこのコート』
萌も身を乗り出して見てくる。私の勘ではきっと萌は桃ちゃんのこと好きなんじゃないかなって思う。私と待っててくれるから、毎日送ってもらってるし。
でも萌に聞いてもきっと、違う!の一点張りだろうから聞いてないけど。
「あ、終わったっぽい」
『早かったね。結構やってたのかな?』
もうちょっと見てたかったな…って名残惜しい気分になったけど、そんなことを考えている場合ではない光景が目に入った。
『萌、あれって……』
「新崎さん、よね」
栗色のふわふわの髪の毛。そんな子は新崎玲羅さん、1人しかいない。
その彼女がフェンスから出たリョーマくんに話し掛けているところだ。こちらからでは彼女の表情を確認出来ないけど、きっと恍惚だろう。
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