モノクローム
□わからずや
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「雨宮さん、ちょっといい?」
ある日、見たことあるリョーマくんのファンの子たちに声を掛けられてしまった。しかも私が1人で教室に残っていた時を見計らったかのように。
やっぱり平凡な日々はそう長くは続かない。ついこの間萌とおかしい、と話していたっけ。噂をしていたら何とかってやつかな。
とりあえず彼女たちの後をついていく。向かった先は定番の屋上。
入学して2回目の屋上で大きく天を仰ぐ。そして女の子たちの中心にいる人物に目を向けた。
『…新崎さん』
「…単刀直入に言うね。リョーマくんと別れて?」
『それは誰が望んでいること?』
「ここにいる全員」
私の人生は常に平凡でいい。こんな女の子たちに囲まれるようなことはなくてもいい…と思っていた。いつからこんなことになってしまったのだろうか。
「何か言ったら?」
…でもせっかくつまらないモノクロームの世界に色がつき始めたのに、また戻るの?そんなの……。
『嫌だ』
私は新崎さんの瞳を見つめたまま、そう言ってやった。
もっと声が震えるかと思った。だけど発した声が自分でもびっくりするくらい力強かった。
きっと気が強くなったのはリョーマのせい。
「何、言ってるの?」
『そっちこそ何言ってるの?私、リョーマくんと別れないから』
完全に断言してやる。
本当のところ、これは自信ではなくてただの願望だったりするけど。まあ、バレなきゃ何の問題もない。
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