モノクローム
□招かれざる客
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とりあえず、昨日起こったことはまだ萌に黙っておこう。もちろんリョーマくんにも。
今のところ文句を言われただけで、いきなり名無しさんちゃんと言われたのはびっくりしたけど。
そういえば「これからよろしくね」ってどういうことなんだろう。
そんなことを考えながら朝、学校まで1人で歩いてく。今日は何もありませんように、と願いながら。
「おはよ、名無しさんちゃん!」
神様は意地悪だ。私の小さな願い事は一瞬で打ち砕かれた。
…何がおはよ、だ。それよりも何で横に並ぶの?昨日の今日だぞ。とりあえずここは笑顔だよね。
『おはよ、…新崎さん』
「玲羅でいいよ〜」
じゃあ…なんて曖昧な返事したけど意味が分からなかった。
もしかして私たち友達になったの?その前に何で横に並んで歩くの?
この状況、誰か助けて。
「名無しさん、おはよ。……新崎?」
…ナイスタイミング。
リョーマくんが後ろから声を掛けてくれた。でも新崎さんを見つけた時に明らかに嫌そうな顔をした。
「あ、リョーマくん、おはよ〜」
フワリと微笑んで挨拶。それだけでやっぱり可愛い。
性格は難ありだけど。あ、そっか、みんな知らないんだよね。
「何で一緒に歩いてんの?」
うわあ、相変わらずストレートだな。そんなことは私が聞きたい。
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