結論から言おう。屋上に入ってきた人は希望ではなく、間違えなく絶望だった。
「玲羅、…こいつ?」
「そう。私の好きな人と別れてくれないの」
他校の制服を着た男の子たちと会話をする新崎さん。男の子たちがこいつ?と指差したのはもちろん私。
今になって、さっき叩かれた頬が更に痛む。
「可愛いじゃん」
「どこがよ」
間髪入れずに言った新崎さんに怖いなー、と男の子たちが笑う。私からしたら全然面白くも何ともない。
「じゃあお願いね」
彼女の言葉が合図。男の子たちはニヤニヤと妖しい表情をしながら私に近づいてくる。
…これは本格的に危険なやつ。
後退りしてみたが距離はどんどん縮まる。やがて私の背中に壁がついた。
「ごめんねー!俺たち、君に恨みとかないけど玲羅に頼まれたからー」
1人の男の子が私の髪の毛を撫でながら言う。
気持ち悪い、触らないで。別に悪いと思ってもないくせに。
…なんて言える程の度胸は、生憎私にはなかった。
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