モノクローム
□強行手段
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「名無しさん!」
飛び込んできたのは2つの影。息を切らしている私のヒーローたちだ。
『リョーマくん、萌…』
2人の登場で一気に安心する。助かった、そう思っても間違いはないと思うくらい。
「名無しさんから離れてくんない?」
リョーマくんの表情は然程変わりはないけど怒りのオーラが滲みでている。後ろにいる萌からも。
私の周りにいる男の子たちはリョーマくんに、何だと!と文句を言ったが意外な人からの制止が入った。
「もう帰って!」
「玲羅、こいつら…!」
「いいから、帰って!」
男の子たちは新崎さんには叶わないのか、舌打ちをして出ていく。
帰り際にリョーマくんに睨みを利かせたが、彼は無視して私のところに駆け寄る。
「大丈夫?」
『大丈夫、だよ』
フワリと抱き締められる。
男の子たちに捕まっていたのは、ほんの少しの間だったのに果てしなく長い気がした。久しぶりにこの温もりに戻った、そんな気が。
「一体どういうことか説明してくれるよね、新崎さん」
屋上には私たちと新崎さんだけ。萌が新崎さんを問い詰める。
萌の問い詰めに新崎さんはふふ、と笑った。その笑顔が怖いくらいに綺麗でゾッとする。
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