モノクローム
□夢を視る羊
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ここに来てから3度目のチャイム。6限開始の合図だ。結局サボってしまった。
確か6限って英語だった気がする。あーあ、見つかったら大量のプリントやらされる……。いっか、リョーマくんにやってもらおう。
「そういえばさ、何で急に謝りだしたわけ?」
『あ、桃ちゃんに言われて…』
その言葉にリョーマくんの整っている眉がピクリと動いた。……やば、もしかして地雷踏んだ?
『桃ちゃんと会って…、それで話聞いて反省して……っん!』
まだ話の途中で言葉を遮るキスが降りてきた。荒々しさと優しさに溢れているリョーマくんからのキス。
「…俺さ、結構嫉妬する方なんだよね」
『え、もしかしてリョーマくんが桃ちゃんに嫉妬したの……?』
悪い?と拗ねた少年の顔。嬉しくて思わずクスクスと笑ってしまう。
それにムッとしたのか、隣に座っている私を持ち上げて自分の足の間に座らせた。
そして後ろから密着し、抱き締めるような姿勢。リョーマくんが少しでも呼吸するものならば、その吐息が耳に掛かるくらいの距離。
『ち、近いよ…っ』
「別にいいじゃん。でもキスしにくい。名無しさん、こっち向いて」
本当はすごく恥ずかしくて嫌だけど、それでも好きが勝って振り向く。私はどれだけリョーマくんが好きなんだろう、そんなことをキスしながら考えた。
『幸せだねー…』
「ん」
『温かいねー…』
「ん」
だんだんこの体勢も落ち着き、温かさに瞼が重くなる。寝るの?というリョーマくんの問いに答えられなかった。
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-リョーマSide-
「結局寝たし…」
本当に生殺し。もし万が一わざとだったら怒るんだけど。でも名無しさんに限ってそんなことはないんだろう。うん、考えてもなさそうだし。
「しかし器用に寝るよね。一応抱き締めてるけど落ちないわけ?」
…聞いても返事がないんだけどね。
とりあえず名無しさんを抱き上げて、大勢で座れる大きなベンチに寝かせた。
「俺も寝よ…」
人が寝ているのを見てると眠くなる。俺も名無しさんの隣に寝転び、抱き抱えるようにして眠りについた。
夢を視る羊
(今はこれで我慢する)
-contiune-
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