モノクローム
□嗚呼、素晴らしき人生
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「あぁーっ!」
…うるさいなあ。せっかく気持ち良く寝てるのに。安眠妨害ってやつじゃん。
「英二先輩、うるさいっす。名無しさんが起きるっす」
そうだ、そうだ!もっと言って!
……え、何でリョーマくんの声がするの?何で菊丸先輩の声がするの?
目も開いておらず、寝起きで回らない頭をフル回転。
『…うわあっ!』
思い出した!リョーマくんと仲直りみたいなのして、サボろってなって寝ちゃったんだ!
「あ、名無しさん、起きたんだ」
おはよ、なんて暢気に返してる場合じゃない!周りを見渡すと菊丸先輩と不二先輩と桃ちゃんがいた。私の口はパクパクと開いたり閉じたりを繰り返している。
そんな時、バタンと部室の扉が開いた。
「ちょっと桃!名無しさん知らない!?」
すごい剣幕で萌が入ってきた。みんなきょとんとしているのに桃ちゃんだけが笑っている。
「ほら、ここにいるぜ」
ニヤニヤと笑いながら桃ちゃんが私を指差す。私は萌に手を上げた。
「名無しさんっ!」
隣にいたリョーマくんを突き飛ばしてガバッと抱きつかれた。嬉しいけど、正直痛い……。
「越前!名無しさんに手出してないでしょうね!」
入ってきた時と同じ剣幕で萌がリョーマくんを睨み付けている。しっかりと痛いくらいに私を抱き締めたまま。
「…桃先輩」
「はいよ」
その上、突然桃ちゃんに両耳を塞がれた。何が起こっているか、一言で言うと、謎。
「しよう、としたけど名無しさんが寝たから何もしてない」
「名無しさんに手出そうなんて、10年以上早い!」
「あんた、バカ?そんなに待てるわけないじゃん」
会話が終わったのか、桃ちゃんの手が両耳から離れた。私は表情しか見てないけど、リョーマくんが生意気そうな顔をしていて萌が負けた顔をしていた。
『ねぇ、何の話してたの?』
「名無しさんは知らなくていいの!」
萌がリョーマくんを睨んだまま言う。あれ、このセリフ。確か前に萌に言われたことある。
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