AliceV
□星回り
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…俺がずっと守ってやる。
その言葉は嘘じゃなかったし、名無しさんのためならと自信もあった。
だけど実際名無しさんが危険な目にあった時には俺はあいつのそばにいれなかった。そばにいなければ守れない。守ってやると約束したのに俺は…。
「ずっと守ってやる」
「えー、大丈夫だよ」
「…可愛くねぇな」
「うそうそ!守ってね、棗。こういうのって運命って言うのかな」
広い世界で一握りしか持てない天賦の才能。そこで同い年として出会った俺たち。こういうのって運命だよね!と名無しさんはよく笑って言っていた。じゃあこれも運命って言うのかよ。
会いたい、会いたい。好きだと愛していると伝えたいのに。苦しいよと笑われるほどきつく抱きしめたいのに。俺の隣に名無しさんはいない。
雲散した幸せ。途絶えた運命。消えない絶望感。名無しさんのいないこの世界で俺はどうやって生きていったらいい?
「棗、大好きだよ!」
願いを叶えてくれるなら神様でも悪魔でも誰でもいい。この先何を失っても、全てを失っても構わない。ただ名無しさんと一緒にいたいんだ。ずっと守ってやると言った約束の続きを……。
星回り
(好きだ、愛してる)
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