AliceV

□キスできる距離
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初等部から中等部になってからも相変わらず名無しさんは俺の隣にいる。もちろん友達として。





「ルカと一緒に話しているのが1番楽かも!」


それが名無しさんがよく言うこと。初等部のころはその言葉を聞くだけで嬉しかった。だけど今は友達のままじゃだめなんだ。今までずっと一緒にいたはずなのになぜか焦る。…このままだと誰かのものになってしまうんではないか。




ちょっとしたアクションでも起こさない限り、きっと名無しさんは気づかない。例えストレートに言ったとしても私もだよと流されてしまいそうな気がする。もしかしたら怖い思いをさせるかもしれないけど、ごめん。





「ルカといるのが1番楽!」


ほら来た。俺と話してるのとか一緒に居るのが楽だけじゃだめなんだ。もっともっと恋愛感情を持って意識してほしいんだ。





まだ誰も掴んだことがなさそうな名無しさんの手首をグッと掴む。怖い思いをさせたくないけど気持ちを知ってほしいという悪循環が頭の中をぐるぐるする。俺は今どんな顔してるんだろう。






「俺だって男だよ?」


手首を掴まれて腰を寄せられると逃げられないでしょう?ほら、あっという間に……。







キスできる距離
(このまましてしまおうか)



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