AliceV

□足枷になるなら解いて
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棗が世界で一番好き。まだ人生の半分も生きていないけど言い切れるくらい好き。残りの人生を全て彼に捧げても構わないくらい好き。だけど彼の人生の全ては私に捧げてほしくないの。違う意味になってしまうから。





棗が任務に出されている理由を知ったのは少し前のこと。偶然なのか必然なのか私の前に現れたペルソナから教えられた。あいつはお前のために任務をしているんだって。



荷物、足枷、負担、重荷。
そんな言葉が私の脳内を駆け巡って木霊する。





「…何だよ、別れようって」


棗の性格上、受け入れてくれるとは思っていない。それでも受け入れてもらわなくてはならない。私の人生を全て彼に捧げても構わないが、彼の人生を全て私に捧げてほしくない。明らかに重さが違う。




「名無しさん、自分が何を言ってるのか分かってんのか」


「分かってるよ」


分かってる、分かってるよ。この気持ちを何度も反芻した。だけど私にはこれしか思いつかなかった。





「棗じゃないと駄目なんて誰が言った?」


突き放すから、どうかどうか嫌いになって。嫌いになられたとしても私の人生を全てあなたに捧げるから。








足枷になるなら解いて
(君の自由な道が開かれますように)



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