ユーレカ

□途切れた僕等
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今朝は学園がなんだか騒がしい気がする。学園に来る時にそう思ったけど教室内は特に。この学園で唯一信頼できると言っても過言ではない隣の席に座っている莉緒が教えてくれた。





「今日、転校生が来るらしいよ」


ここはアリス学園だもん。転校生なんて結構な頻度で来ているのに何でそんなに騒ぐことがあるんだろう。





「2人来るみたいで、1人が町を一夜にして火の海にしたっていう噂が流れてるみたい」


あーあ、入る前からそんな噂が流れてるとあっという間にいろんな人から目を付けられちゃうんだから。ああ、その人の学園生活は平凡なものではなくなるんだろうな。





「はーい、みんな席に着いてねー!」


語尾にハートマークがつくような相変わらずのテンションでナルがチャイムと一緒に教室に入ってきた。誰かが、転校生が来るんですかー?とありきたりに叫ぶ。




「みんなよく知ってるねー。じゃあ入ってきて」


ナルの合図で新しい制服を身に纏った男の子が2人入ってきた。彼らの外見を見て教室は黄色い悲鳴が飛び交っている。1人は綺麗な金髪の子。もう1人は指定のリボンを着用していない赤い目の子…ってちょっと待って。おかしい、だってこんなところにはずないもん。じゃあそっくりさんってこと?頭が混乱しているのを知らずにナルが彼らに自己紹介を勧めた。




「乃木流架です」


「日向棗」


そっくりさんでも何でもなかった。あの外見、あの瞳、あの声に名前。まさしくあの日から会いたくて会いたくてたまらなかった人だけど会わない方が私にとっても彼にとっても幸せだと思っていた。何でこうも私の運命は悲惨なんだろう。





「悠?」


「ごめん、瞬間移動してもらってもいい?」


瞬間移動のアリスを持っている莉緒からの今すぐ?という問いに強く頷いた。莉緒も何かを察したのかすぐに北の森へ瞬間移動してくれた。







「あ、悠ちゃんと莉緒ちゃんがどっかに行っちゃったね」



目の前で2人の女が一瞬にして消えた。隣でルカがすごいねと小さく呟いていたけどそれどころじゃない。この担任今、消えたやつのこと悠って呼んだよな?教室に入ったときから似ている奴がいるとは思ったけどまさかこんなところで会うとは思っていなかった。昔会ったとき、あいつがアリス持っているなんて知らない。




「じゃああの2人には棗くんとルカくんのパートナーをやってもらおうかな」


棗くんのパートナーが悠ちゃんでルカくんのパートナーが莉緒ちゃんってことで!と担任が勝手に決めていた。もし本当に彼女だったら俺の名前を聞いてから逃げたことになる。それはなぜ?







途切れた僕等
(始まってもなかったと言うのか?)




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