ユーレカ

□トリガーを、引いた
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今なんて言った?ナルにそう聞いてもまた同じ言葉を言われる。私が日向棗のパートナー?理由はこの前私と莉緒がいなくなってしまったかららしい。だからって…とまだまだ文句を言いたいことがたくさんあるのにそれを止めるようにナルがそっと耳元に寄ってきた。




「それに棗くんは悠ちゃんの力がいると思うんだ」


「それってどういうこと?」


聞き返すとナルが珍しく真剣な顔をして黙った。何となく嫌な予感がする、そしてそれが当たりそうな予感もする。ああ、何で私は気づかなかったんだろう。






「町を一夜にして火の海にしたって噂知ってる?それが棗くんなんだ」


「…だから初校長に目を付けられてるの?」


私の質問にちゃんと答えず、さすがだねとだけナルが言った。初校長に目を付けられて危力入りなんて未来は絶望でしかない。気がつかなかった私の責任だ。初校長のところに行かないと。私はナルを置いて学園の本部に向かう。もう行き慣れた初校長のところ。彼にはこんな目を合わせちゃいけないんだ。初校長がいる部屋の扉の前に立ち呼吸を整えてノック。




「悠か」


入ってすぐに手遅れだと知った。まさか彼と鉢合わせするなんて。まあ、いつかはバレることだったけど。





「悠に紹介しておこう。新しく危力に入った日向棗だ。アリスは炎」


初校長が彼を差しながら紹介してくるけどそんなことはどうだっていい。今から彼を危力から外すのはもう無理なのだろうか。自分の非力さに改めて失望する。せめて彼が任務をやらないように気をつけないと。その考えを打ち砕くような初校長の言葉に耳を疑った。





「任務中に共に行動することもあるだろう」


「…もう任務に出すんですか?」


自分でも分かるくらいなぜか声が震えた。もうどうして私の思い通りにならないんだろう。問題か?と言われたとき、もっと初校長を説得させられるくらい日本語が上手かったらよかったのにって本当に思った。下がれって言われたから私たちは部屋の外に出る。





「お前、あの時の悠だろ?」


大変だ、部屋を出たからこの学園に来て彼と2人きりになってしまった。






トリガーを、引いた
(彼がご丁寧にね)




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