ユーレカ

□痛みを知らない心
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彼に話しかけられてしまった日の夜、今の状況を莉緒に報告しに行く。彼が危力に入ってしまったこと、覚えててくれたこと、アリスを使ったこと。





「隠し通そうとしていて悠はつらくないの?」


つらくないって言ったら嘘になるけどこの学園の中では私と関わらない方がいいんだ。危力への加入にも気づかなかったし、彼自身にも変な噂があるからそれ以上にってなってしまう。覚えててくれたことについて嬉々している場合じゃない。でも…。





「本当はどうしていいか、何が正しいのか分からないんだ」


本当に私が彼にしていることは正しいことなのか。間違っているのなら何が正しいことなのか。久しぶり、と普通に接すれば危力で助けやすくなるのではないか。わざわざ隠すことが一体何になるの?





「でも悠は自分と関わることで彼が辛くなるって考えているんでしょ?」


そうなんだよね。悪い噂がばっかり流れちゃったり、後ろ指を差されたり…と言ってる途中でそれは莉緒にも同じだと思い、言葉を詰まらせてしまう。それを莉緒は瞬時に気づく。





「また変なこと考えてたでしょ?」


「考えてない!考えてない!」


またグーパンチしようと莉緒が拳を握りしめたので慌てて首を横に振って否定する。だったらいいけど、と拳を降ろしてくれたので一安心。





「悠が決めたことなら私は協力するよ」


しっかりと言ってくれたその言葉がとても心強い。大丈夫、何とかなるよって思える。だけど甘えてないで彼も莉緒も他の人も巻き込まないようにしないと。後戻り出来ない程の深い闇に落ちているのは私一人で充分。







痛みを知らない心
(そのままでいてほしいから)



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