ユーレカ
□貴方の五感を全て
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ナルに言われた時じゃないけど自分の耳を疑った。目の前に座っている私と同じくらいの年齢に見える初校長が、カーテンから少しだけ漏れている光で見えないけどきっと口角を上げて笑っているんだろう。
「日向棗を今夜の任務に出す。悠と2人でやれ」
ああ、相変わらず私の耳はバカみたいに正常。聞き間違っていてほしいと願っていたのに叶わない。何か不満そうな顔だな?と初校長が勘づいた。なるべく気づかれないように言葉を選んで話し出す。
「彼はまだ早いと思います。内容も知らない人と組むなんて…」
「それならこの前のお前たちの任務を見学させた」
我ながら上手い言い訳を言えたと思ったのに。彼が見ていた?どうやらこの前の任務の場にいなかったから安心していたのは大きな間違いだったようだ。本当に私は非力で学習能力がない。
「だから任務の内容は大方知っているはずだ」
「でも…っ」
ここは食い下がれない。これを受け入れてしまったらもう元には戻れないから。だけど初校長が妙に必死だな、と言うからもう慌てて口を噤む。守りたいと思っていることを気づかれてはいけないんだ。
「では今夜の任務はお前1人でやるか?」
私1人で任務を?第一線に出てはいるけど私のアリスは敵をくらますことが主だから1人でなんてやったことがない。だけどもしそれが彼を救う唯一の手段ならもう答えは決まっている。でも気づかれないように。
「足でまといが増えるくらいなら1人でやります」
貴方の五感を全て
(闇に浸らせさせない)
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