ユーレカ

□もう、次は無い
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夜、外に出ると雲が月を覆っていてやけに暗くて嫌な雰囲気が漂っている。そんな空の下に私とペルソナと彼。今夜の任務は初校長に宣言した通り私1人で行うもの。1人でも負けるつもりはないけど彼の目の前で任務をやることになるなんて。でも一気に距離を開けるチャンスだと思おう。





「悠、行け」


またペルソナの合図でゆっくりと前に出る。いつもと同じようにアリスを使う。今日は倒してくれる味方がいないから視界をなくすだけでは意味がない。





「舞姫だ!敵は1人だぞ!」


もうすでに誰かが気づいたらしく、霧が出ている中叫んでいる。1人だからってみくびらないで。あまりこの使い方は好きじゃないんだけど、私の周りに小さな水の塊をたくさん出す。





「何だ、これは!」


霧を消すと敵が目の前に現れた。その敵の顔には私の周りにあった小さな水の塊が覆っている。いくら体が大きくても人間だもん、顔が水の中じゃ息が出来なくなる。





「霧ってね、小さな水滴が浮遊している現象なの。その小さな水滴も一カ所に集めれば水の塊になるの」


それだけ言って水の塊を消してあげる。今は倒れているけどみんなギリギリ生きているはず。最後までなんてやらない。戦意を失えばそれでいい。念のため霧を出して私はペルソナのところに戻って任務完了。





「最後までしなくていいのか」


私の勝手でしょ、と言うと彼と目が合った。ああそうか、今の戦いを見られていたんだった。引いたかな、引いたよね。これでもう彼が私と関わらなければいいのに。空を見上げると相変わらず月は雲に覆われていて星さえ瞬いていない。そのせいか喉の奥にグッとくるほど悲しくなった。







もう、次は無い
(そうでなければならない)




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