ユーレカ
□それはまるで、気のきいたペテン
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せっかく改めて守ろうと思ったのに現実は容赦なくそれを踏みにじって嘲笑うかのようだ。これからの任務を全部私1人にやらせてくださいって言いに行ったのに。
「しばらく任務はない」
まさかそんなことを言われるなんて思ってもいなかった。だってそんなこと言われたことがないから。そのままでは引き下がれなくてどれくらいですか?と聞いたのに初校長は何も言わない。
「そんなに任務をしたい理由が何かあるのか?」
その代わりに返ってきた言葉。何かを知っているようにも聞こえるし、何も知らないようにも聞こえる。どちらにせよ私には彼の心は読めない。ただ怪しまれてるってことなら分かる。
「1人でできたからって軽率に考えてました」
適当に言い訳を並べてすみません、と頭を下げて扉の方へ向かう。扉を閉めるとき、初校長がニヤリとしていたのは気のせいだと思いたい。
「揃いも揃って全く同じことを言うなんてな」
悠が言いにくる少し前、新しく入った日向棗も同じ言葉を言いにきた。悠の時とは違い、あいつには全ての任務を任せると言った。あの2人は何を考えているんだろう。同じ言葉を言いにきたのは偶然だと思えない。
それはまるで、気のきいたペテン
(何が真実なんだろうか)
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