ユーレカ

□終わらない道の奥は
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実際に任務をやってみて初めて知ったこと。その辛さ、その過酷さ、その痛さ。彼女は今までそういうことを幾度こなして来たんだと思うと正直ゾッとする。





「ご苦労だったな」


初校長やペルソナからその言葉を掛けられても労いの言葉なんかじゃない。1人で何やってんだ、そういう意味に捉えてしまう俺が悪いのだろうか。大勢の奴らにバカにされても今まで守られていた分悠を守りたいと思ってしまう。





「黒ネコだ!」


俺の名前は黒ネコとしてあっという間に一人歩きしてその世界に広まった。悠は舞姫だっけ、とふと考えていたら敵の雄叫びがすぐ後ろから聞こえた。一瞬の隙で背後を取られる。攻撃を避けようと振り向いたところに目の前に敵が持っていた小型のナイフが瞼を掠めた。すうっと左目が血で滲んで前が見えなくなる。




このままやられてしまうのかと考えてしまった。だけど俺がやられたらまたあいつに任務がまわってしまう。そのためには俺は倒れてはいけない。瞼を掠めたことで敵は活気付き一斉にとどめをさしにくる。敵がひとかたまりになった瞬間、炎の渦に巻き込む。






「怪我をしたのか」


ボロボロになりながら何とか任務を完了して帰ると心配していなさそうに淡々とした口調でペルソナが言った。とりあえず病院に行って治療してもらってからようやく部屋に帰れたのはもう日付けがとっくに変わっていた頃。



怪我をしたのは注意力が足りなかったからだと思う俺はもう闇の世界に慣れてしまったのか。左目を掠めてから出来た傷があちこちに多数。毎日のようにこんなことをしていて血を流したりしているのに、ちゃんと地上に足をついて生きている心地がしない。







終わらない道の奥は
(何が待っているんだろう)




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