ユーレカ
□溺れ、つたい、堕ちる
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バタバタと本部の廊下を走って久しぶりに初校長のところに向かう。出来るだけ彼が1人で任務を行ったことを知らないふりしよう。少しでも疑われたら元も子もないんだから慎重に。ふうっと息を吐いてからドアをノックする。さあ、普通の女の子でいる時間はもう終わりだ。
「悠か、久しぶりだな。急に何だ」
「私に任務をやらせてください」
第一声でそう言うから、それはなぜだ?と当たり前の問いがくる。彼を守りたいからなんて口が裂けても言えやしない。初校長の興味を惹くような嘘を適当に並べればそれでいいんだ。
「任務のない光の世界で過ごしてようやく気づきました。私は闇の世界でしか生きられない」
机に肘をつきながら高貴な笑みで嘲笑うように私を見てくる。全てを見透かされているのか、バカにされているのか。初校長が何を考えているのか私には検討もつかない。そして、ようやくそのことに気づいたのかと彼は言う。
「今夜の任務はお前に任せよう、舞姫」
その名を聞くのさえ久しぶりだ。私は裏の人間だと思い知らされる。ごめんね、莉緒。この前にした約束を守れそうにないみたい。でも私にはもうこれ以外に守る術が思いつかないから。
「1人でいいな」
「もちろんです」
溺れ、つたい、堕ちる
(さあ、舞姫の復活)
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