ユーレカ

□ロミオだけが生き続ける
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「ちょっとあんた!」


怪我のためか久しぶりに任務に呼ばれない夜、何となく外を歩いていたら急に胸ぐらを掴まれた。確か悠が唯一そばにいる奴だった気がする。確か、高瀬莉緒だっけ。何だよ、と言うと何だよじゃない!と怒鳴られた。




「悠の居場所知らない!?」


部屋にもいないの!と今すぐにでも殴りかかってきそうな剣幕。昼間あいつに離して!と突き放されてから姿を見ていない。じゃあそれからあいつはどこに行った?心当たりと言われば一つしか思いつかない。




「…まさかその顔、任務じゃないよね?」


違うよね?と必死に懇願されれば何も言えなくなる。こいつの頭に過ぎったのと俺の頭に過ぎったのはどうやら同じらしい。





「お願い、悠を助けて。本当はあんたなんかに頼みたくないけど悠はあんたを守ろうと必死なの」


「何であいつはそんなに俺を守ろうとしてんだよ」


「あんたが危力に入ったのも自分のせいだって思ってるの。それに自分と関わらない方がいいとも思ってる」


危力に入ったのは自分の力のせいであって、悠には何の関係もない。それなのに何であいつは自分のせいだと思っているんだろう。それに自分と関わらない方がいいなんて悠の勝手な考えにすぎない。





「…バカだな」


ただ一言、それに尽きる。目の前にいるこいつも同意だと言うように頷いた。1人で考えて1人で傷ついて、悠はどれほど身体や心に傷を負ったのだろうか。そしてそれを癒せているのだろうか。多分同じことを考えて目の前にいる奴は、もう一度だけ言うと真剣な目になった。





「悠を助けて。助ける気があるならあんたを本部へ飛ばす」


そこから先はあんたに任せるから。上等じゃねーか、その言葉と共に頷いてすぐに本部へ飛ばされた。







ロミオだけが生き続ける
(そんなことを望んでいるならぶっ壊す)




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