ユーレカ

□真っ暗な青空
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暗い暗い渦の中。どうして私はこんなところにいるんだろう。ぼんやりと考えれば思い出す。そっか、任務をしてて隙をつかれてしまったんだ。でも微かに覚えている敵の歓喜の声は悲鳴に変わったような気がしたけど。まあ、どっちにしろ私は終わっちゃったんだ。





静かに目を閉じれば走馬灯のように映像が流れてくる。両親が学園から守ってくれて逃ていた日々。ある日突然いなくなった家族。莉緒しか信用できなかった学園生活。舞姫と呼ばれながら生きてきた闇の世界。彼に会いたくても出会わない方が幸せだと思っていた気持ち。




思い出が全て私の糧になっているなんて思えないけど、きっとそうなんだろうな。全てが運命によって決められていて、私が今暗い渦の中にいるのもまた運命。これでよかったのかと聞かれれば素直に頷けないけど。




後悔があるとすれば、もっと信頼できる人を作ってもよかったんじゃないかなって思う。そうすればきっと私の学園生活は一変していた。私と関わらない方がみんなの為かもしれないけど、味方がいないと現実はあまりに辛い。



あとは棗へ素直な思いを伝えなかったことかな。守ってやると言ってくれた彼の力を素直に借りればよかったんだ。そうすれば彼も私も危ない橋を渡ることがなかったのに。




あの頃自分の中では正しいと思っていたことがどんどん悔やまれる。私の頭も融通のきかない頑固。そのおかげできっと莉緒にもたくさん迷惑かけたんだろう。あ、任務を1人でやらないっていう莉緒との約束破っちゃったことに謝りたかった。それも後悔。




もし神様のご加護でもう一度生まれ変わることが出来たならば、私はきっともっと光の世界を求めて生きていくだろう。みんなの力を素直に借りて、もしまた天賦の才能を持って生まれても、よかったと思えるくらいに。





「悠!」


あれ、遠くの方で誰かが私の名前を呼んだ?







真っ暗な青空
(ありえるわけがない)




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