ユーレカ

□全てが全て最初から
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「もう起きて大丈夫なの?」


棗と思いが通じ合って私は棗と一緒に莉緒に謝りに行った。1人で任務をしてごめんなさい、と彼女との約束を破ってしまったことを伝えなくてはいけないから。謝る前に身体の心配をされて莉緒の優しさにとことん救われる。だけど甘えていたらだめだ。





「1人で任務しないって約束破ってごめんなさい」


頭を下げたから莉緒の表情が見えない。だけどピリッと空気が張り詰めたのは分かる。彼女とこんな空気になったことがないからどうしていいか分からない。恐々顔をあげると彼女は涙ぐんでいた。そして少しだけ涙を拭い、本当に悪いと思ってる?という問いに私は必死に頷く。





「1人で任務に行かないって言ったのに行くし、意識不明でボロボロになって帰ってくるし…」


莉緒はもう涙ぐんでいるんじゃなくて涙を流していた。一体どれ程彼女に迷惑を掛けてしまったんだろう。きっと棗以上に迷惑を掛けて怖い思いをさせてしまったんだろう。





「これ以上心配掛けたら友達やめるからね!」


涙を吹いて莉緒ははっきりとそう言った。でもまだ私と友達でいてくれる莉緒は本当に優しくて、やっぱり心から救われる。もう涙が乾いた彼女が今度は隣にいた棗を指差した。こいつと上手くいったみたいだけど、私は認めてないからね!と。




「お前に認めてもらう必要ねぇだろ」


「大ありです。悠が一番好きなのは私なんだから」


ね!と満面の笑みで言われても。まあ、1番好きなんだけど。何か違うような…そんなこと言えないけど。




「2人とも私の大好きな人だよ」


ヘラっと笑って言えば棗にぎゅっと抱きしめられた。それから身体を引き剥がされて今度は莉緒に抱きしめられた。丸く治めるつもりで言ったのに逆効果だったかも。




今これがすごくすごく幸せだけど、いつまでもこのままってわけにはいかないと思う。これからもこの学園で生きていかなくてはならないんだから。だから私は決めたんだ。







全てが全て最初から
(やり直そう)



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