『でねでね、その時の英二先輩がすごく格好よくて!』
部活から帰ってきて夕飯も食べ終え、お風呂も入り終わって寝ようとしたら幼なじみの名無しさんがドタドタと部屋に入ってきた。そしてさっきからずっと英二先輩の話しかしていない。
名無しさんは2ヶ月ぐらい前から英二先輩と付き合っている。彼氏がいるにも関わらず、こんな時間に幼なじみだけど男の俺の部屋に来ていいと思ってるのか。
多分英二先輩にも言っていないだろう。だって名無しさんには全く悪気も疾しい気持ちもないのだから。
でも俺は名無しさんのことが好きだ。それはもう、健全な男子として今名無しさんが座っているベッドに押し倒してしまいたいくらいに…。
しかしそんな行動をするのは愚か、思いを伝えることだってしていない。自分でもまだまだだね、と思う。
『それでね、その時の英二先輩の優しさがね!』
さっきから相槌を打つ暇もないくらいの一方的なマシンガントーク。まあ、相槌なんて打ちたくないからいいんだけどさ。
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