PrinceU

□シングルベッド
1ページ/3ページ





季節は本格的な冬に突入した。いくら学校とはいえ、教室の扉が開くたびにぶるっと震えるような寒さに身がよだつ。


俺の彼女の名無しさんは人一倍寒さに弱いんだって自分で言っていた。確か夏も私は人一倍暑さに弱いの!って言ってた気がするけど。しかし今日は一段と冷え込んでいるのに寒いという言葉を聞いてない気がする。それより席から一歩も動いていない気がする。





いつもなら席を立つのも面倒だが、相手が彼女ならこれは別の話し。何かあったのか、と尋ねに行く。





『あ、リョーマ……』



話し掛けると、いつもに増してトロンとした口調にゆらゆら揺れている瞳。おまけに頬が赤い。俺は一瞬で嫌な感じがして名無しさんの額に手をあててみる。





「うん、やっぱり……。名無しさん、今の気分は?」



『えっと…寒くて暑い…』




俺は医者でも何でもないけど多分当たっていると思う。これは風邪だ。額に手をあてて熱いと思うくらい熱もある。何で名無しさんは学校に来たんだろうと溜め息を吐いたが、何でもっと早く気付かなかったんだろうと申し訳なくなった。




なんて反省している場合じゃない。とりあえず名無しさんを保健室に連れて行かなければ……。





「名無しさん、保健室行こう」



んー、と立ち上がると名無しさんがフラリとして俺は慌てて彼女を支えた。ありがとう、なんて弱々しい笑顔で言われると更に申し訳なくなった。








.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ