PrinceU

□理由なんていらない
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『何で私はリョーマが好きなんだろう』


持っているシャーペンをくるくる回しながら急に名無しさんが呟くから心臓に悪い。ていうか、ペン回し出来てないけど。





「いきなり何言ってんの?」


なんて強気の振りをする。内心かなり焦っているなんて、格好悪いところ見せたくない。バレないようにとただの強がりだ。









『だってさ、正反対じゃない?リョーマは言うならばスター。私はただの一般人。無い物ねだりってやつかな?』




…無い物ねだり?
俺だって名無しさんには敵わないことはたくさんある。君はそんなこと知らないんだろうな。









「俺には無くて名無しさんにはあるものだってあるじゃん。お互い様でしょ」


『そんなのある?』




名無しさんがじーっと疑いの目を向けてくる。…何か上手く言わされてる気がする。まあ、いいけどさ。









「人懐こいとことか、お人好しのところとか」



ふーん、と名無しさんが首を傾げた。どうやらピンときていないらしい。多分、名無しさんは自分の性格の良さに気がついていない。そこがらしいところでもあるけど。とにかく彼女は自分を卑下にしすぎだと思う。








「もっと自信を持って俺のこと好きでいてよ。無い物ねだりでも何でもいいから」



『理由は何でもいいの?』






まあ、何でもいいと言えば語弊はあるが、とりあえず俺は頷いた。実際、俺だって何で名無しさんを好きになったかよく分からないし。








『でも多分、リョーマだから好きなんだよね』





それは俺にとって最高の口説き文句。もちろん名無しさん限定で。どんな褒め方より1番嬉しい。









理由なんていらない
(悩む必要なんてないじゃん)
(あ、確かに!)







-END-






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