PrinceU

□しるし
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「名無しさん先輩」




昼休み、いつも屋上で寝ているリョーマが3年生のうちのクラスに来た。こんなこと、もしかしたら初めてかもしれない。





『リョーマ、どうしたの?』


「ちょっと話があるんだけど…」




そう言ってリョーマは歩き出す。どうやらその話の内容はこんな廊下では気軽に話せるものではないらしい。私も彼のあとをついていく。






リョーマの歩みが止まった場所は外にある巨木の下。風が木の葉をガサガサと揺らしていて、昼下がりの今、とても心地がいい。その木に寄り掛かるようにリョーマが腰を下ろした。私も隣に座ろうとすると阻止された。





「名無しさん先輩はここ」



リョーマは自分の足の間をポンポンと叩く。私は大人しくその指示に従った。恥ずかしいからリョーマと対面じゃないけど。







『どうかした?』



改めてリョーマに聞いてみたが、答えはない。その代わり、後ろからお腹に手を回されてしっかりと抱きしめられた。






『リョーマ?』



くるりと顔だけ彼のほうに向く。今日はいつもと違う。強気で生意気な彼じゃなくてまるで甘えん坊のただの男の子。







「今朝、告白されたんでしょ?」





ああ、それか。今朝確かに告白された。だけどすぐにお断りした。だってリョーマが好きだもん。





『すぐ断ったよ?』


「それも知ってる」




何だ、知らないから不機嫌なのかと思ってた。








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