PrinceU
□それはきっと強制
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もし神様が存在するならば、意地悪だと思う。私はついさっき学校で彼氏に振られた。他に好きな人が出来たとか何とかで。まあ、そこまでは恋愛でよくあることだ。
公園のベンチで一通り泣き、落ち着いていたところだった。1番会いたくない人が目の前に現れたのは。
「ここ座るよ、名無しさん」
やだ、って言う前に座る。ああ、こういう人だよね、幸村って。キッと睨んでもクスッと笑われてしまった。
「どうした?って聞いてほしい?」
『…結構です』
別に幸村に話すことなんてないもの。貴方に慰めてほしいとも思わない。
「可愛くないね」
またクスッと笑いながら、頭を撫でられた。その手があまりに優しくて、幸村が来る前に止まったはずの涙がまた溢れてきた。
「振られたんだろ?」
ゆっくりと髪を梳きながら彼は言った。何で知ってるんだろうか。しかしそんな質問は愚問なんだろう。幸村だから、そんな言葉で片付けられる。
「ねぇ、名無しさんが望むなら、俺はあいつをどうだってするよ?」
幸村が言うと冗談に聞こえない。加えて幸村が冗談を言うとも思えない。即ち、本気だ。
「俺もあいつが嫌いなんだよね」
『どうして?』
幸村とあの人に何か関わりがあったっけ?私の知る範囲ではなかった気がする。
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