PrinceU
□嫌い、だけど好き
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テニスは好きじゃない。そんなことを言ったら私の彼氏さんは怒るのかな。というか私をテニス嫌いにさせたのは彼だ。
『今日は誰も来ないかな…』
保健委員会に入っている私は週に一度放課後に保健室にいる。当番は1人だったり2人だったり。今日は私1人だけ。保健医は職員会議だから職員室に行っている。軽い怪我とかだったらよろしくね、って言い残して。大きい怪我と軽い怪我の区別がいまいちですが。
時計をチラッと見ると、そろそろ帰れる時間。しかし廊下にバタバタと走る音が響いた。何かいやな予感、そう思ったときに保健室の扉が勢いよく開いた。
「すいません!リョーマくんが!」
入ってきたのは同じクラスのカチローくんと越前リョーマ。越前リョーマを見れば、あちらこちらに怪我をしていた。うーん、これは大きい怪我なんだろうか。一応呼びに行った方がいいかな。
じゃあ、先生を呼んでくるね、と保健室の扉を出ようとした時、彼に止められた。
「あんた、出来んじゃん」
『そりゃ出来るけど』
よろしく、と彼は近くにあった椅子に座った。まあ、いっか。傷自体はそんなに大きくないし、消毒してっと…。
『それよりカチローくん。この傷どうしたの?』
「転んだ」
『あんたには聞いてない』
越前リョーマがにゃろう、と呟いたけど知らないふり。俗に言う、無視ってやつ。
「他校生がテニスラケットで石を打って来て、リョーマくんはそれを庇ってくれて…」
え、何その状況。石を打ってくるなんて相当危険じゃん。頭可笑しいんじゃないかな。英語で言えばクレイジー。
『痛かったでしょ?』
「別に。あんたの治療の方が痛い」
私は持っていたピンセットで思いっきり彼の腕を抓ってやった。せっかく心配してるのに。
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