PrinceU

□恋人は私
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青学男子テニス部のスーパールーキー。その言葉だけでも彼がどれだけ人気があるか分かりそうだ。スーパールーキー基、越前リョーマ。学園中でその名前を知らない人はいないんじゃないか、ってくらい彼の名前は知れ渡っている。それと同時に私の名前も学園中に知れ渡ってしまった。雨宮名無しさん基、越前リョーマの恋人。





「名無しさん先輩、帰ろ」


告白してきたのはふたつ年下の彼。それはもう何ヶ月も前の話だけど今でも鮮明に覚えている。天地がひっくり返るほど驚いたものだ。そして何度も確認したの。私でいいのかって。それでも彼の答えは何度だってYes。





「あ、リョーマくんだ!」


人気者の彼は私といたっていろいろな女の子に話しかけられる。隣にいるはずなのに。面白いはずなんてない、そんなこと言えないけど。目の前でリョーマに話しかけている女の子をはじめ、周りの女の子の方が可愛いもん。つまり自分に自信がないんです。




「名無しさん先輩、すごい顔」


周りの女の子に聞こえないくらい小さな声で私の耳元で呟いた。きっとひどく歪んでいる顔だったんだろう。これで引かれたらどうしよう。




「自信持たせようか?」


え、と聞いたのもつかの間。彼の唇は私の唇を捉えていた。私の目の前には彼の整った目鼻立ちとその背景にある女の子の歪んだ表情。




「付き合う前、何度も言ったよね。あんたがいいんだけどって」


そう言われると何も言えなくなる。それ以前に人がいる中でキスしたのは初めてだから声が出ない。女の子は怖い顔してるし。




「いい加減自信持ってくんない?他の奴らが見えないぐらい俺が名無しさん先輩のことを好きなんだから」


素直に響く私は単純?それでもいいや、と思えるなんてもっと単純?何でもいいか、幸せだから。






恋人は私
(君しか目に入らない)




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